献血70歳まで200回超、80代2人に感謝状 親川さん「母と原爆」きっかけ


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献血とボランティアを続け表彰された玉城幸輝さん(左)と親川菊江さん=21日、那覇市の県赤十字血液センターくもじ献血センター

 沖縄県赤十字血液センターは21日、長年献血ボランティアとして従事した親川菊江さん(86)=那覇市=と、玉城幸輝さん(83)=同=に感謝状を手渡した。2人は若年層に対する献血の普及や啓発に取り組んだ。

 親川さんは1976年、42歳の時に初めて献血をし「献血定年」の70歳まで28年間、続けた。献血を始めたきっかけは、母の当山ツルさんへの思いがあったからだ。広島で被爆した母は沖縄に引き揚げ、戦後10年が過ぎてから原爆症を発症した。本部町の自宅で看病をしていたが、輸血が必要だった当時、米軍から血液を購入すると1本10ドル以上し、最初の1本以上の血液は買えなかった。母は59年に51歳で亡くなった。

 親川さんは「母に対して、できなかったことをしたい。私の血を本当に必要とする人がいるなら頑張ろう」と献血を始めた。その気持ちで231回も献血を続け、70歳からはボランティアとして週1回、献血への協力を街頭で呼び掛けた。親川さんは「当たり前のことをしてきただけ」と照れくさそうに笑った。

 玉城さんは40代の時に献血を始め、70歳まで計206回の献血を実施した。街頭での呼び掛けも続けた。「若い人たちにも関心を持って献血をしてもらいたい」と語る。

 2人は感謝状と記念品、花束を受け取り「呼ばれたらまだボランティアは続けられますよ」と笑顔で応えた。