那覇副市長人事廃案、与党に渦巻く不満と「前副知事の動き」に反発も


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 平良識子那覇市議(ニライ)を副市長に選任する議案は、延長後の日程でも採決できず混迷を深めた。採決に持ち込めない背景には、野党だけでなく与党内にも人事に対する不満がある。元市議会議長・前副知事の安慶田光男氏が平良氏を後押ししたことも混乱の一因となっている。

 本会議休憩中にニライは開議請求へと動いた。中立の公明も「議会として審議しないのはあるべき姿ではない」(喜舎場盛三団長)と賛同する構えだった。一方、与党の共産は開議請求に難色を示した。古堅茂治団長は「副市長人事のような重要な議案を少ない人数で決めても議会の汚点になる。どちらが民主主義か」と述べた。

 ただ議会内には、共産が採決に消極的なのは、別の人物を副市長に推していたためだとの見方もある。

 自民や与党の一部が平良氏の起用に反発したのは、安慶田氏の動きがさまざまな憶測を呼んでいる面もある。自民の粟国彰会長は「市議でもオール沖縄でもないのになぜ口を出すのか」と語気を強めた。

 粟国氏らは桑江豊副議長(公明)が議長に代わって会議時間を延長したことも「越権行為」と問題視し、人事以外にも飛び火した。市議の一人は「ここまで混乱するとは思っていなかった。みんなくたびれた。禍根を残すのではないか」とこぼした。