泡瀬干潟の保護区指定を凍結へ 県、地元賛同得られず ラムサール登録対応は「持ち帰り検討」


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県が鳥獣保護区への指定を凍結する方針を明らかにした泡瀬干潟=2020年9月

 沖縄市と北中城村にまたがる泡瀬干潟のラムサール条約登録に向けた、同干潟周辺の鳥獣保護区指定について、県は23日、保護区指定の計画を事実上、凍結する方針を明らかにした。同日の地元向け説明会で、県の松田了環境部長は「地元の賛同が前提だ。賛同が得られない状況で手続きを強行することはない」と明言した。

 保護区指定で中城湾港泡瀬干潟の埋め立て事業に影響が出ることを懸念する地元に対し、県は埋め立てて造成する人工島など一部区域を保護区指定から除外する案なども示したが、理解は得られなかった。

 松田部長は説明会の終了後、取材に「ラムサール条約への登録は地元の理解を得て進めるものだ」と県の方針を説明。今後の対応は「持ち帰って検討する」とした。

 県は現在建設が進められている人工島を含む、周辺区域を鳥獣保護区とする案を沖縄市に打診した。保護区のうち、開発行為に規制がかかる「特別保護地区」の案として、比屋根湿地や埋め立て地の北側と南側を沖縄市に示した。

 一方、埋め立て地そのものは「普通区域」に分類され、開発規制はなく、狩猟行為が禁止される。地元からは保護区指定で開発に規制がかかると懸念する声が強い。

 県は説明会で、指定区域から人工島や、陸地と人工島を結ぶ橋などを除外する「折衷案」を提示した。しかし出席した市議や住民からは、将来的な規制強化などで開発行為が制限される懸念が残るとの声が多く、折衷案にも賛同は得られなかった。