県内の不動産業者が賃貸物件の契約に関する「同意書」に「LGBTの方は原則お断りしています」と明記し、性的少数者らの入居を拒否していたことが24日までに分かった。LGBT当事者のタスクさん(26)=本島中部=が賃貸アパートを契約しようとしたところ、この不動産業者から渡された同意書に記載されていた。ジェンダー法に詳しい琉球大学法科大学院の矢野恵美教授は「セクシャリティによって、一部の人を一律に排除するもので明らかに差別だ」と指摘した。
同意書はこの不動産業者が独自に作成したもので、契約者が申込書を提出する前に同意すべき留意事項を列挙している。入居拒否の対象として「刺青(いれずみ)・タトゥーの入ったお客様」「外国人」「精神疾患や健康に問題のある方」などに加えて、LGBTが明記されていた。
入居後に留意事項に違反する事実が判明した場合は「契約解除となります」としている。LGBTであることなどを隠して入居しても、事実が確認された場合は退居を求める旨が記載された。タスクさんは12月上旬、北谷町内のアパートの部屋を内覧し、気に入ったため契約しようと考えた。だが、この同意書を提示されたことから契約しなかった。
矢野教授は同意書の文言について問題視しながらも「不動産所有者には誰をそこに住ませるかを決める権利があるので、このような表現が許されてしまう」として、法整備の必要性を指摘した。
同意書を作成した不動産業者は本紙の取材に対し「差別や偏見の意図はなかった。(タスクさんに)大変な思いをさせてしまったのなら残念。私たちもだが、社会全体でもっと理解が深まればいい」と説明した。
(仲村良太)
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