県が有識者を集めて設置した「米軍基地問題に関する万国津梁(しんりょう)会議」(柳沢協二委員長)の本年度第3回会合が23日、県庁であった。委員らは、米軍の動向や米中対立の先鋭化を踏まえた上で、沖縄の基地負担軽減に向けた論理を構築する必要性を確認した。来年3月末にまとめる提言書では、米国の軍事力ばかりに安全保障を頼る発想の転換を推奨するとみられる。会議は非公開で、終了後に柳沢委員長が記者団に内容を説明した。柳沢委員長は「中国の抑止を考えると、ますます沖縄が地理的に重要になっているという考え方もある。だが本当にその単純な論理でいいのか。問題の捉え方を変えていかなければならない」と語った。
米中対立が激しくなっていることや米軍の最新動向を念頭に、沖縄の基地負担を当然視する言説が出てくることを懸念する意見が上がった。委員らは対抗する論理を立てたい考えだ。
3月末の提言書では、米軍の戦略上も沖縄の基地を固定化させることは不都合だという点も指摘する予定。名護市辺野古の新基地建設が技術的にも困難だという点は昨年度の提言書に引き続き盛り込む。沖縄の歴史や地理的特性を生かして東アジア地域の信頼醸成の拠点をつくることを提言することも検討している。