JAL機エンジントラブル ファンブレード1枚に疲労破壊の痕跡 運輸安全委が発表


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 【東京】国土交通省が「重大インシデント」と認定した、4日の那覇発羽田行き日航(JAL)904便ボーイング777機のエンジントラブルについて、運輸安全委員会は28日、左側エンジン前部の「ファンブレード」と呼ばれる長さ約1メートルの羽根上の部品1枚が金属疲労で破損していたと発表した。安全委はトラブル発生後初めて国交省に情報提供した。安全委によると、ファンブレードの破損は国内初の事例で、引き続き原因を詳しく調べる。

 安全委によると、ファンブレードは22枚あるうちの1枚が根本付近から、もう1枚は半分ほどが破損していた。根本から破損していたブレードの断面には、金属材料が繰り返し負荷を受けることで破断に至る「疲労破壊」の痕跡があった。もう1枚には痕跡がなく、疲労破壊によって根本から折れたブレードがもう1枚のブレードに当たって破損した可能性が高い。

 エンジンカウルや水平尾翼、胴体の損傷も、破損したブレードが当たったことによるものとみられる。

 ファンブレードは航空法で6500回の飛行ごとに検査のための交換が義務付けられている。

 破損したファンブレードは、米国の航空機用エンジンメーカー、プラット&ホイットニー社が製造したもので、海外では同メーカー製で同様の破損事例が確認されているが、国内での破損事例は初めてという。

ファンブレードの破損が確認された左側エンジン(運輸安全委員会提供)
破損が確認された左側エンジンのファンブレード(左と中央)(運輸安全委員会提供)