建設業、商工会…「昔ながらの男社会」を束ねる女性リーダーが大切にしていること


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
嘉手納町商工会の職員らと笑顔で意見交換する村山博子会長(左端)=2020年12月18日、同商工会

 いつも心に“しなやかさ”を。嘉手納町商工会会長で建設業・比謝川電気社長の村山博子さん(65)が、リーダーシップを取る上で大切にしている心構えだ。リーダーシップからは「統制力」や「決断力」などの力強い言葉を連想するかもしれないが、対照的に村山さんは優しくほほ笑む。「目指すのは縁の下の力持ち。チームの一人一人が動きやすいよう柔軟に対応し、バックアップすることが役目だと思っているんです」

 1955年、嘉手納町で生まれた。琉球大学理工学部卒業後、米ワシントン州立大学へ進学し、学士号を取得。83年に父・盛伸さんを中心に創業した比謝川電気に入社、取締役兼総務部長を経て2016年社長に就任した。07年に嘉手納町商工会理事に選任され、女性部長を経て18年から現職を務める。

嘉手納町商工会会長で株式会社比謝川電気代表取締役の村山博子氏=2020年12月9日、嘉手納町

 県内の商工会でも、女性会長は数少ない。建設業という昔ながらの“男社会”を束ねる女性社長も、またしかり。村山さんは「いずれも自分が引っ張っていけるのか初めは心配だった」というが、手探りの中でも続けることでさまざまな気付きがあった。各現場の責任者が動きやすいように日ごろからこまめに現状と課題を聞き取りし、最善策をチームワークで導き出す。

 トップダウンにはこだわらない。性別やキャリアにかかわらず、誰もが気負わず問題提起したり、アイデアを共有したりできる、風通しの良い環境整備に力を注ぐ。会社も商工会の活動も、根元は一緒だと断言する。

 女性の社会進出が進み、ジェンダーにとらわれない職種や働き方が広がる中、村山さんはリーダーシップにも多様性が求められると指摘する。「聞く力、共感力、発信力。いかに職員一人一人の自主性やモチベーションを高められるのか、永遠のテーマですね」
 (当銘千絵)