生活再建融資が全国で50万件超える コロナ禍でリーマン時の12倍


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 低所得世帯の暮らしを再建してもらう狙いで貸し付ける「総合支援資金」のうち、新型コロナウイルス感染拡大の影響で減収した人にも特例措置で対象を広げた生活支援費の融資決定件数が、3月からの約9カ月間で50万件を超えたことが30日、事務を取りまとめる全国社会福祉協議会(全社協)への取材で分かった。

 総合支援資金は生活支援費のほか、住宅入居費などもあり、全体の貸し付け実績が過去最大だったのはリーマン・ショック後の2010年度。今回は貸し付け対象を拡大しているため単純比較はできないが、10年度1年分の12倍超に上る。コロナ禍で困窮状態が長引き、事態がより一層深刻化している実態が浮き彫りとなった。

 生活支援費は、2人以上の世帯なら月最大20万円を原則3カ月分まで無利子で借りられる。全社協によると、貸し付け対象を広げた今年3月~12月19日までの累積決定件数は、約51万5千件で総額約3853億円だった。過去最多だった10年度の貸し付け実績は1年で約4万1千件、約262億円だった。

 これとは別に、一時的な資金が必要な人が最大20万円を借りられる緊急小口資金も約86万1千件で総額約1581億円。いずれも12月に入っても1週間当たり8千件程度の申請があり、収まる様子はないという。

 申請窓口を担う豊島区民社会福祉協議会(東京)の担当者は「仕事のシフトが減った状態が長期化し、困窮する人が申請に訪れている」と話す。4月から電話相談会を開催してきた猪股正弁護士は「12月に入り、貸し付けが満額に達してしまって年明けからの生活が見通せないという相談が増えてきた。本来は生活保護を受給した方が良い人が貸し付けを利用しているケースも多い」と指摘している。

 厚労省は特例措置の受け付けを来年3月末まで続ける。