琉大病院 コロナ手当半額 労組反発「リスク見合わない」 病院 「収入減、出せる範囲」


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琉球大学病院(資料写真)

 新型コロナウイルス感染症患者の対応に当たる医療従事者に支給する手当について、琉球大学病院(西原町)が国の基準を下回る金額を提示し、看護師や医師ら同病院に勤務する職員が加盟する労働組合が反発していることが14日までに分かった。国家公務員の給与を定める人事院が支給額を1日当たり最大4千円としている一方で、琉大病院側は半額の2千円を提示していた。琉大病院は提示金額について「感染症による収入減の経営状況を踏まえた」としたが、組合からは「リスクに見合った補償になっていない」との声が上がっている。

 問題となっているのは、コロナ患者の対応に当たる看護師や医師らに支給される「特殊勤務手当(危険手当)」。

 琉大病院職員労働組合によると、琉大病院は昨年10月、感染予防のための防護服を着用したり、患者と長時間接触する業務に従事したりした医療従事者に限り、1日2千円の手当を支給する案を提示した。これに対し、組合側は「他県の大学病院の支給基準と同一にするべきだ」として、防護服を着用し業務に当たる医療従事者に1日5千円、それ以外の病院勤務者にも1日千円の手当を支給するよう求めている。コロナ患者に対応する国家公務員の手当については、人事院が1日当たり3千~4千円と定めており、この基準の半額程度にとどまる提案に、「感染リスクの中で大変な思いをしている現場に報いる提案ではない」(組合関係者)と訴えている。

 県は、コロナ患者の入院を受け入れた感染症指定医療機関と協力医療機関に「協力金」を支給。国も3月までの緊急措置として、病床逼迫(ひっぱく)地域でコロナ患者を受け入れている医療機関に対し、医療従事者の処遇改善のための補助を行っている。ただ、勤務する医療従事者への支給基準は各医療機関が決めるため、金額などにばらつきが生じている。

 琉大病院側は、2千円の支給額について「感染症による収入減の経営状況を踏まえて出せる範囲」と回答しているが、前出の組合関係者は「国から看護師や医師に一律支給される20万円の慰労金さえ支払われていない状況だ。現場のモチベーションを維持するためにも不公平感が出ないようにしてほしい」と訴えた。