キハダマグロ1キロ1万円の過去最高値 「コロナ禍を乗り越える」 泊魚市場で初競り


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威勢の良い掛け声で次々とマグロなどを競り落とす仲買人ら=5日午前5時40分頃、那覇市の泊魚市場(喜瀨守昭撮影)

 沖縄県那覇市の泊魚市場で4日早朝、2021年の初競りが開かれた。一番競りに掛けられた51・5キロのキハダマグロは1キロ当たり1万円と、通常の約10倍のご祝儀相場で競り落とされ、昨年の初競りで記録した8千円を上回り、過去最高値を更新した。

 午前5時半から始まった初競りにはマグロ類が多く並び、市場にはセリ人や仲買人による威勢のいい声と落札を告げる笛が鳴り響いた。同日の競りの総水揚げ量はマグロ類29トンを含む31・5トン、売上高は税抜きで約1800万円だった。

 一番競りのマグロを釣り上げたのは県近海鮪漁協所属の和佳丸で、那覇市の中村鮮魚が競り落とした。中村鮮魚の仲買人・中村優人さん(27)は「赤身がしっかりしていていいマグロだ。コロナ禍から乗り越えるために景気づけの意味も込めて、1番競りを狙っていた。いいスタートが切れた」と語った。

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う観光客数の減少などもあり、県内水産業界でも需要の減少などの影響が広がった。20年の泊魚市場の総取扱量は前年比約17・6%減の約6600トン、総取扱金額は同約22・1%減の約40億円にとどまった。

 初競り前に開かれた「初興し」で、県漁業協同組合連合会(県漁連)の上原亀一会長は「経験したことのない試練の年となったが、1年間競りを休止することなく継続できたことは、感染対策の取り組みなど、関係者の協力のたまものだ。漁業を取り巻く環境は厳しい状況が続いているが、少しでも漁業環境が改善できるよう課題解決に取り組みたい」と語った。