「環が生きた10年はきらきらと彩られていた」長女の一周忌に写真展 古澤さん夫妻


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 長女の環(たまき)さん(享年10)を心臓病で失った古澤健太郎さん(43)、さや夏さん(41)夫妻=那覇市=が一周忌に合わせて、環さんの写真展「たま記」を同市松尾のギャラリー「あおみどりの木」で開いている。夫妻は写真展を通して「環が生きた10年間が、きらきらと彩られていたことを見詰め直したい」と話す。

古澤健太郎さんが撮影した長女の環さん。健太郎さんは「社交的で目立ちたがりだった」と笑う=2015年、北中城村の県立沖縄ろう学校(健太郎さん提供)

 環さんは2009年、第1子として生まれた。生まれつき心臓に奇形がある「両大血管右室起始症」を患っていた。おなかの中にいた時に仮で「たま」と呼んでいたことや「心臓から血がうまく循環するように」との思いから「環(たまき)」と名付けた。夫妻は「環は伸び伸びと幸せそうに生きていた」と振り返る。性格は社交的で目立ちたがり。「きょうだいに対しては、偉そうなお姉ちゃんだった」と笑う。

 2年前、主治医から「余命はあと5~6年」と告げられた。病状が悪化し、20年1月4日にこの世を去った。最期の苦しそうな姿が、しばらく夫妻の頭から離れなかった。だが「お別れ会」で生前の写真を見返すと「苦しかったことだけじゃない。環は喜んだり笑ったり怒ったりしながら人生を生きていた」と改めて気付いた。

 それでも、家族の誕生日などを迎えるたびに環さんの不在を強く感じた。昨年の夏に「一周忌を泣いて過ごすのは嫌。楽しくしたい」と写真展の開催を思い付いた。会場に選んだギャラリーは元薬局兼住宅。家の中にいるような雰囲気に引かれた。

長女・環さんの一周忌に合わせて写真展を開いている古澤健太郎さん(左)、さや夏さん(右)夫妻と子どもたち=4日、那覇市松尾のあおみどりの木

 写真展は命日の4日に始まった。夫妻が中心となって撮影した、約70枚の写真パネルなどを展示している。祭り好きだった環さんのために、会場で出店もしている。さや夏さんは「難病を抱えていても普通の生活がある。訪れた人たちにも自由に見て、感じてもらえたら」と話した。

 写真展は10日まで。平日は午前11時~午後4時、土日は午前11時~午後6時。入場料500円(高校生以下無料)。