高校留学→大学も海外「選択肢」に 那覇国際高が米高・大と協定 コロナ収束後にらみ


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米モンタナ州ギャランティン高校との姉妹校調印式を終え、オンラインで交流する那覇国際高校の生徒と教員=12月15日、那覇市天久の同校

 那覇国際高校(仲宗根勝校長)が昨年12月、米中西部モンタナ州のギャランティン高校と姉妹校を結んだ。同州立大学とも近く協定を結ぶ予定だ。米国の高校・大学と姉妹校の協定を結ぶことで、高校への長期留学から大学進学につなげることが狙いだ。このような取り組みは私立で見られるが、公立では珍しい。新型コロナウイルス感染拡大で海外との交流が制限される中、収束後の生徒の飛躍をサポートする準備が進んでいる。

 沖縄と深い関係

 モンタナ州はロッキー山脈がある山岳地帯で、二つの国立公園がある自然豊かな環境だ。県内の高校は代わる代わる、同州ボーズマン高校の姉妹校となっていて、沖縄と同州の関係は深い。本年度は読谷高校が同校の姉妹校となった。

 那覇国際高校の姉妹校となるギャランティン高校は、ボーズマン高校の過密解消のため、昨年設立された。オンライン調印式で同校の生徒は、恐竜のマスコットキャラクターと共に真新しい学校を自慢げに紹介した。エリカ・シュネー校長は、那覇国際高校への敬愛の念をにじませつつ「世界中の人々とつながりを持てるのはうれしい」と姉妹校締結を喜んだ。

 調印式では那覇国際高校の生徒も英語で学校を紹介した。自主的に参加した2年の河村梨紗さん(17)らは「今はお互いのことを知る質問を交換してる。オンラインでの交流になるが、新型コロナが収まったら行ってみたい」と、対面での交流を待ち望んだ。

 整う“レール”

 那覇国際高校は毎年20~25人程度の生徒が長期留学をしている。短期の語学研修も20年近く続けており、参加希望は多い。国際科主任の神里涼子教諭は「普通科、国際科を問わず、外国に興味を持つ生徒がたくさんいる」と話す。進学先に海外の大学を希望する生徒も毎年いるという。

 同校は現在、モンタナ州立大学と協定内容の調整を進めており、1月か2月に正式調印する。仲宗根校長は「実現すれば午前中は大学で語学を学び、午後に高校で交流するといったことができる」と、教育的意義を強調する。州立大側は奨学金制度の創設も検討しているといい、留学から大学進学への“レール”が整いつつある。

 仲宗根校長は「国内の有名大学に進学しても、その先が保証される時代ではなくなった。グローバル人材を育成するという教育目標のためにも、『県内』『県外』だけではなく『海外』という選択肢をつくりたかった」と語った。
 (稲福政俊)