新型コロナウイルスの感染拡大で減収した個人事業者などを支援する持続化給付金を、中小企業庁からだまし取ったとして、税理士の男(51)と経営コンサルタントの男(54)、その妻(53)が、7日に県警特別捜査本部に詐欺容疑で逮捕された。特捜本部はこれまで、税理士の男の税理士事務所を家宅捜索し、組織ぐるみで犯行に及んだ可能性を視野に捜査を進めてきた。現職税理士の逮捕で、捜査は大詰めの局面を迎えた。
7日午前6時45分ごろ、まだ薄暗い那覇市の住宅街を、複数の捜査車両の明かりが照らした。スーツ姿の捜査員約10人がマンションの階段を駆け上がり、静けさに包まれる明け方の住宅街に緊張が走った。同8時半前、捜査員に囲まれた税理士の男が姿を現した。フードを深くかぶり、険しい表情のまま捜査車両に乗せられた。特捜本部は同日、男の自宅や税理士事務所など関係先を家宅捜索した。
給付金の不正受給に関連し、現職の税理士が逮捕されるのは全国初。沖縄税理士会の外間喜明会長がコメントを出すなど、関係者に衝撃が走った。男を知る税理士によると、同容疑者は税理士会の委員会などに積極的に参加していた。こわもてだが優しい印象だったという。委員会で同容疑者は「コロナで困っている人がいるので頑張らないといけない。疑わしい申告は受け付けていない」などと話していたという。
県内の不正受給総額は億単位に上るとみられている。特捜本部は税理士の男が経営コンサルタントの男らと共謀の上、組織ぐるみで不正受給を呼び掛けていたとみて捜査を進めている。