故郷・鳩間島の「宣伝マン」奔走 三線アーティスト、会社経営のかじくあつしさん


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 鳩間ブルーと呼ばれる瑠璃色の海が広がり、ゆったりした時間が流れる人口約50人の鳩間島で育った。沖縄民謡歌手である父・加治工勇さんと有志で「鳩間島音楽祭」を手掛け、31歳で鳩間島を世界で1番エコな島にすることを目指すベンチャー企業を立ち上げた。会社経営のほか、三線アーティストとしても活動する傍ら、竹富町観光大使として島の魅力を伝える“宣伝マン”として故郷のために奔走している。

 高校卒業後、大学進学のために上京。父・勇さんのライブに参加するうちに三線アーティストとして、また島のために活動していくとの将来の方向性が定まった。大学卒業後は広告代理店に就職。働きながらライブ活動や観光大使としての活動をしてきた。鳩間島音楽祭も多メディア展開で実施するなど、たった50人で始まった音楽祭を多い時で2千人が来場するイベントまでに成長させてきた。

 会社を辞め、2013年にはベンチャー企業「恋の島ファクトリー」を設立。15年に仙台市で沖縄フェアを3日間主催した。その縁で、現在はFM仙台でラジオ番組を持ち、かわさきFMでの番組とともに沖縄情報を発信している。

 今年のテーマは「スポーツ・健康・食」。鳩間島に仕事や家庭などの日常生活を離れ、自分だけの時間などを持ち疲れた心と体をリフレッシュする「リトリート」のための施設を造る計画を進める。医療廃棄物も燃やすことが可能な小型焼却炉の導入に向け各種の調整も担った。小型焼却炉を導入することで、来年からゴミや漂着物をペレット化して電力に変える実証実験が始まるという。夢は明確だ。「百年後も美しい島であること、そして島で働きながら平和に暮らしていけることだ」

(山川夏子首都圏通信員)


 かじく・あつし 1982年、鳩間島生まれ。神奈川県在住。本名は加治工敦。県立八重山高校、日本体育大を卒業。三線アーティストとして、2009年にはファーストアルバム「Saza波」を発売した。13年に恋の島ファクトリーを創業、同社代表取締役社長。竹富町観光大使のほか、イベントのプロデュース、沖縄情報のラジオ番組のパーソナリティーなども務める。