データに見る宮古島市長選 今回選挙は政府対「オール沖縄」に 過去には候補乱立も


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 宮古島市長選は14日、3日攻防に突入した。前県議で無所属新人の座喜味一幸氏(71)=社民、共産、社大、立民推薦=と、無所属現職の下地敏彦氏(75)=自民、公明推薦=が激しい舌戦を繰り広げている。一騎打ちは2005年の第1回の宮古島市長選以来16年ぶり。市長選がどのように変遷したのか、投票率や得票率などのデータを基に分析する。

 宮古島市長選はこれまで無投票だった13年を除き過去3回実施された。初回の05年を除き、過去2回とも候補者が乱立。最多となった09年で6人が立候補した。一騎打ちとなった05年は保守系、革新系からそれぞれ出馬し、合併前の平良市市長を3期務めた革新系の伊志嶺亮氏が新人の下地敏彦氏を下し、初当選した。

 しかしその後、市職員による補助金不正受給など不祥事が相次ぎ発覚したことで伊志嶺氏は任期を1年近く残す中、引責辞任した。

 超短期決戦で行われた09年の市長選は保革ともに候補者が乱立し、自民、公明の推薦を受けた下地氏が競り勝った。下地氏の当選により、保守側は旧平良市時代から約15年間続いた革新市政を奪還した。17年は保守系、革新系から候補者2人が出馬し四つどもえの選挙戦となり、現職の下地氏が革新系の奥平一夫氏と375差の僅差で勝利し、保守市政継続となった。

 今回は保守系候補同士による戦いで、現職の下地氏がこれまでと同様に自民、公明の支援を受ける。一方、昨年6月まで県議会の自民会派に所属していた座喜味氏は支持層である保守系の一部に加えて玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力の支援を受ける。

 そのため、18年知事選などと同様に今回の宮古島市長選は政府与党と「オール沖縄」勢力の全面対決の様相となっている。

 過去3回の市長選投票率は05年の85・86%が最も高く、その後は低下傾向が続いている。09年は71・20%、17年は68・23%だった。一方、18年の県知事選(56・62%)や19年の参院選(40・05%)、17年の衆院選(67・73%)など直近の全県選挙と比べて市長選の投票率は高い傾向にある。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で選挙運動が制限される中、投票率のさらなる低下も懸念される。

 9日時点の市の選挙人名簿登録者数は4万4916人(男性2万2602人、女性2万2314人)。

保守系得票多く 全県選挙

 宮古島市は現在、強固な保守地盤とされ、直近の知事選や国政選挙を見ても自民党などが推す保守系候補が多くの票を得ている。

 2019年7月の参院選における政党別の比例得票数を見ると、自民が最多の5062票を獲得し、次いで自民と連立政権を組む公明が3209票だった。革新系では社民が最多で2250票を獲得。国政野党第1党の立憲民主党は社民に次ぐ1232票だった。

 18年9月の知事選で県全体では、「オール沖縄」勢力が推した玉城デニー氏が、自民、公明などの支援を受けた佐喜真淳氏に8万174票差を付けて勝利したが、宮古島市の得票では佐喜真氏の得票が玉城氏を上回り、その差は2353票だった。

 17年の衆院選沖縄4区は保守系候補同士による戦いだったが、自民公認の西銘恒三郎氏が「オール沖縄」勢力が推した仲里利信氏の得票数を8091票上回った。