宮古、遺伝情報で3集団 島北東部 島南西部 池間・伊良部 狭い地域で分化 世界的にもまれ


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 琉球大学大学院医学研究科の研究チームは18日、宮古島諸島住民1240人のゲノム解析を行ったところ、宮古島北東部、宮古島南西部、池間・伊良部島の三つの集団に分類されることが分かったと発表した。これほど狭い地域の住民が複数の集団に分類される例は、世界的にも報告がないという。研究成果は、進化生物学の学術雑誌「Molecular Biology and Evolution」に掲載される。

 琉大大学院研究チーム解析

 ゲノム解析は、国や県の支援を受けて実施している沖縄バイオインフォメーションバンクプロジェクトの一環。県民の由来を考察するだけでなく、ゲノム解析を進めることで、病気のリスクや薬の効き方などを把握し、個々人に合った医療の推進につながるという。

 池間・伊良部島の集団はグスク時代の外部からの移住に由来し、過去に急激な人口減少を経験していることも分かった。1771年に発生した明和の大津波による被害を反映しているとみられる。

 宮古島北東部、南西部の集団は、外部との遺伝的交流があり、琉球王朝時代前後に本島集団と分化したと推定される。

 宮古島北東部、南西部は比較的特徴が近い集団で、池間・伊良部島の集団は二つより離れているという。

 研究チームはこれまでに、県全体で1万8千人分の遺伝子情報を分析。県出身者が本土とは異なる遺伝的背景があることや、県内でも複数の集団があることが判明していた。久米島や八重山諸島も本島とは異なる特徴を持っており、解析を進める予定だ。

 研究チームの前田士郎教授は「研究を進めることにより、健康長寿に役立つヒントを見つけ出すことができる」と話した。

 研究チームは琉球大学大学院医学研究科の松波雅俊助教、今村美菜子准教授、木村亮介准教授、石田肇教授、前田士郎教授、医学部先端医学研究センターの小金渕佳江特命助教(現東京大学)が参加した。