【記者解説】宮古島市長選、新人の座喜味氏が初当選 現職破り勝利した要因は?


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宮古島市役所

 17日の宮古島市長選で新人の座喜味一幸氏が勝利したのは、市政刷新を訴えたことに市民の期待感が表れた結果といえる。不信感や閉塞(へいそく)感を持つ市民が現市政に不信任を突き付けた。宮古島市のこれまでの選挙は保守と革新が明確に分かれて争われ、それぞれから候補者が出るなど乱戦も多かった。座喜味氏は保革共闘を実現したことで革新と保守、無党派層から幅広く支持を集めることに成功した。

 座喜味氏は今後、市民所得の10%向上や県外観光客へのPCR検査陰性証明取得義務化などを掲げた政策の早期実現に取り組む。ただ、市議会は少数与党となり、予算計上や人事案など重要施策の否決が続くことも予想され、その道のりは険しくなりそうだ。

 前回最大の争点となった陸上自衛隊配備問題は、両候補とも容認したため論戦は深まらなかった。座喜味氏を支援した保革による「ワンチームみゃーく」は陸自問題について「知事と連携し国に説明を求めていく」との方針でまとまった。

 座喜味氏は国や県、賛成・反対双方の市民が議論できる連絡協議会を設置して解決に当たると強調するが、共産をはじめとする支持者の一部は「反対」を訴えており、内部で亀裂が生じる可能性も残る。座喜味氏が訴えた「市民の声が届く開かれた行政」をどう実現するか、行政手腕が問われる。 (佐野真慈)