おきなわワールド(南城市)などの観光施設を運営する南都(那覇市、大城宗直社長)は18日、県事業引継ぎ支援センターの仲介で、73年にわたり糸満市で泡盛製造を続ける上原酒造(上原長榮社長)の事業を承継した。承継は合弁・買収(M&A)の形式を取り、従業員4人の雇用維持と企業名称を引き継ぐことなどを条件に、南都が上原酒造の株式を買い取った。
正式な事業引き継ぎは2月1日。上原社長は顧問に退き、南都の大城社長が上原酒造の社長を兼任する。南都はビールとリキュールを製造しているが、泡盛製造事業は初参入となる。
上原酒造は1947年、兼城村(現糸満市)に上原社長の祖父である長幸さんが創業した。1985年から2017年の間に、沖縄国税局の泡盛鑑評会で泡盛「神泉」と「琉刻」が県知事賞を計11回受賞した。
黒字経営を続けてきたが、泡盛業界全体と同様、上原酒造も年々出荷量が落ちてきたという。
18日に南城市のおきなわワールドで開かれた譲渡契約の締結式で、上原社長は「自分で(業績を)伸ばせなければ、他人の手を借りることで、いい方向に行くと判断した。3年半前から、一番の取引先である南都への事業譲渡を進め、心の準備もしてきた」と経緯を説明した。その上で「われわれの酒造免許を生かしてもらい、大きく成長してほしい」と期待した。
大城社長は「上原酒造の歴史や銘柄を引き継いでいく。互いの知識を合わせて面白い発見をしながら、新商品の開発も展開していきたい」と述べ、今後泡盛の県外や海外への販売にも力を注ぐ姿勢を見せた。