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トランプ氏支持、日本でも  都内で市民らデモ 「愛国者」共感、既存メディア批判


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米国で購入したという「トランプグッズ」を身につけ、首相官邸前でトランプ氏への支持を訴えていた小林直太さん=14日、東京

 【東京】米大統領の就任式が20日に行われ、バイデン氏が新大統領に就任する。米大統領選の投票結果が承認された6日の米連邦議会では、トランプ氏の支持者が乱入し、死者まで出る騒動となったが、東京都内の各所でもSNSなどインターネット上で呼び掛けあった支持者がデモや集会を繰り返していた。彼らはなぜ、「トランプ支持」を声高に叫ぶのか。14日に官邸前で行われたデモの主催者に話を聞いた。

 「不正選挙を許すな!」

 今月14日、東京都千代田区の首相官邸前。

 通常国会の召集前で人通りもまばらな歩道にメガホン越しの大声が響いた。

 「日米同盟強化」と大書された横断幕を掲げ、星条旗と日の丸を手にする数人の市民が、口々に退陣が間近に迫ったトランプ氏にエールを送っていた。

 「米国トランプ大統領再選 地滑り的勝利宣布」「トランプ大統領しかいない!」。トランプ氏への賛辞と中国共産党への批判が書き連ねられたビラを配っていたのが、「デモを主催した」という、さいたま市の自営業、小林直太さん(57)だ。「トランプ大統領を支援する会」という団体を主宰。トランプ氏が大統領に就任した直後の約4年前から、フェイスブックやツイッターでトランプ政権への支持を呼び掛ける活動を行っている。

 なぜ、米国と遠く離れた日本でトランプ氏への支持をそれほどまでに熱烈に打ち出すのか。

 小林さんは、「トランプ氏が愛国者だからだ」と力を込め、こう続けた。

 「中国共産党の脅威に対抗できるのはトランプ氏だけだ。彼の掲げる『アメリカファースト』が否定的に言われるが、自国の国益を優先するのは当然だ。日本人としてその点に共感した。我々も『日本ファースト』と言うべきだ」

 トランプ氏は、大統領在任時にツイッターなどのSNSを駆使した発信力の高さで熱烈な支持者を集めた。一方で、真偽不明の情報を発信し、自身に批判的なメディア報道を「フェイクニュース」と断じ、物議を醸すことも多かった。連邦議会での混乱もトランプ氏の発言が発端になったとの指摘もあるが、「既存メディアによるファクトチェックが真実とは限らない。トランプが目覚めさせてくれた」と主張した。

 こうした「トランプ支持」の市民らによる集会やデモは昨年から続いてきた。6日には、政治団体「幸福実現党」幹部も参加するデモ行進が銀座周辺を練り歩き、昨年12月24日には官邸前で数十人が集まる集会が行われた。トランプ氏が政治の表舞台を去った後、彼らがよりどころにするものは何か。日本の支持者の動向にも注目が集まる。