孔子廟訴訟、最高裁で結審 那覇市と住民側が政教分離巡り弁論 憲法判断へ


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那覇市の松山公園内にある久米至聖廟(孔子廟)

 沖縄県那覇市の松山公園内にある久米至聖廟(孔子廟)のため、市が公園内の土地を無償提供しているのは憲法の政教分離の原則に違反するかが争われた住民訴訟の上告審弁論が20日、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)で開かれた。那覇市は「沖縄の歴史や文化を伝える教養施設で、宗教的意義はない」と主張し、住民側は「宗教的施設で違憲だ」と反論し、結審した。判決期日は後日指定される。

 差し戻し後の一、二審判決はいずれも、無償提供は違憲としている。15人の判事で構成する大法廷は憲法判断をする場合などに開かれるため、最高裁も判断を示すとみられる。

 上告審弁論で那覇市は「歴史的、文化的な意義や設置経緯などの事情を十分に検討いただきたい」と訴えた。市側の補助参加人で、施設を管理する一般社団法人「久米崇聖会」は、中国から渡来した「久米三十六姓」の子孫が会員で、宗教団体ではないと説明。「孔子廟は宗教とは関係がなく、仮にあったとしても宗教性は極めて希薄だ」とした。

 住民側は「宗教的性格の濃厚な施設であることは、学術的見地からはもちろん、一般人の感覚からも疑いがない。使用料の全額免除は、特定の宗教に対する援助や助長に当たり、政教分離原則に違反する」と主張した。差し戻し後の二審判決は、孔子廟を「宗教的性格を色濃く有する」と認定した。公園使用料を免除するかどうかは市長に一定の裁量権があると判断し、請求額は明示しなかった。

 二審判決などによると2011年、那覇市長が公園への孔子廟設置を許可し、使用料を全額免除することを決定、14年に更新した。