サグラダファミリア、配信チャート1位に! 沖縄出身の高3「発展途上」ヒップホップクルー


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サグラダファミリアのエックスエフメニュー(右手前)と(左から)バニティーケー、キャスターマイルド、オハジキ、オイチ(田中来武撮影)(提供)

 沖縄県出身の高校生ヒップホップクルー「SugLawd Familiar」(サグラダファミリア)。シングル曲「Longiness(feat.OHZKEY&Vanity.K)」がインターネット音楽配信サービス「Spotify」(スポティファイ)のバイラルトップ50(日本)で、4日から16日まで全国1位を獲得した。

 バイラルチャートは、再生数ではなく、SNSのシェア数など、ファンが曲に共感し共有した回数などに基づくランキング。一方で、同クルーが動画投稿サイトにアップした「Longiness」は、閲覧数が94万回(25日時点)を超えるなど、数値でも人気がうかがえる。

 メンバーはMCのOHZKEY(オハジキ)、XF MENEW(エックスエフメニュー)、Oichi(オイチ)、Vanity.K(バニティーケー)と、DJのcaster mild(キャスターマイルド)。全員が今春に卒業を控える高校3年生だ。

 もともと個人でMCバトルや、複数人が輪になって即興でラップをする「サイファー」などに参加し、互いの存在に刺激を受け合っていた。高校2年生の時にオハジキの自宅で集まって、曲を制作したことを機に、2019年6月にクルーを結成した。

 クルー名は建築家アントニ・ガウディによる未完の世界遺産「サグラダ・ファミリア」のように“発展途上”の意味を込めている。初めてクルーで制作した曲「IT’S A PARTY」は一人一人が30分以内に作詞することを課してレコーディングした。「みんな緊張していて無理だと思ったが、ばちっとはまった」。沖縄市の「C2 Koza」での初ライブで披露するとラッパーの先輩たちに認められた。「自分たちのやっていることが正しいんだなと思った。流れ作業ではなく(音楽を)届けることの喜びをずっと持つことが大事だと思った」

 それぞれが作詞作曲を手掛け、最近は、下を向いて悩んでいる人や、自分自身に言い聞かせるようなポジティブな曲を書くことが多いという。「メンバーがくじけそうになった時に、リリック(歌詞)を聴いて、もう一度立ち上がってほしいという気持ちもあった。今頑張ればいい曲をつくれると思う。ラップを辞めようか悩んでいる人も救いたい」

 3月に配信用のアルバムをリリース予定で新曲を制作中。卒業後は県内を拠点に音楽活動に力を入れる。目標は県外のライブに参加し、一人一人がソロでも活躍できるようになること。「この社会だからこそ、言いたいことを言えるラップは、もっと大事になってくると思う。みんなが曲を聴いてくれて、恩返しできたら」と前を見据えた。
 (田中芳)