宮古島市、感染急拡大で医療危機 自宅療養を開始 高齢者施設で「入院調整」待つ感染者も


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県立宮古病院

 宮古島市で感染が急拡大し、入院できる医療機関や病床、医療人員など医療資源が限られる中、「医療崩壊寸前の危機的状況」(県立宮古病院長)が続いている。医療の厳しい状況を受け、県は26日、同市で自宅療養を開始した。

 宮古圏域の中核病院の県立宮古病院は25日、新型コロナ患者を受け入れる36床が満床となり、47床に増やした。県によると、26日現在、37人が入院し、さらに病床を拡張する方向で調整している。同院は、新型コロナ患者の増加に対応するため、26日から一般外来を休止した。このほか、市内の民間医療機関も10人の入院患者を受け入れている。県は民間にも病床拡張の協力を依頼している。

 市内の宿泊療養のホテルは30室のうち、消毒の関係で23室が使える状況にあり、26日現在、18人が利用している。県は、さらに拡大して対応する方針だ。

 同市の医療が逼迫(ひっぱく)する中、県は26日、軽症者の自宅療養も開始した。自宅療養者に対し、県の総括情報部の担当者が1日1~2回、電話で体調を確認している。

 同市の「入院調整中」の感染者は37人で、クラスターが発生した高齢者施設での感染者16人は施設内で療養している。残る21人は入院するかどうかや、行き先が決まっておらず、自宅で待機している。

 市内での医療従事者の確保が困難となる中、県は島外の県立病院から6人、民間医療機関から感染管理認定看護師2人の計8人を派遣し、病棟での対応や感染対策を指導している。

 26日、臨時で記者会見した宮古島市の座喜味一幸市長は、医療資源が不足する危機的な状況を前に「みんなで医療の危機を克服することが重要になる」と強調し、感染者をこれ以上増やさないための対策への協力を市民に呼び掛けた。