2019年10月の首里城火災で、建物群が焼失した国営公園区域と県営公園区域それぞれに置かれた防災センターの相互連携が不足していたため消火活動に遅れが生じていたことが26日、分かった。同日、首里城再建に向けた国の会議で報告された。国営区域の正殿内で人感センサーが最初に火災を感知したが、県営区域の防災センターには通報されなかった。その後、正殿内の火災報知機の作動は県営側にも知らされたが、出火場所は詳細を特定する機器が導入されておらず把握できなかった。
県の第三者委員会「首里城火災に係る再発防止検討委員会」は、人感センサーの作動から消防への通報までに時間がかかったことや、通報を受けた消防も現場情報が不足していたため消火活動に支障があったと指摘していた。
火災当時、現在も国営と県営区域の指定管理を受けているのはいずれも沖縄美ら島財団だが、防災面での連携体制が整っていなかったことが火災の拡大へつながったとみられる。
26日、沖縄総合事務局で開かれた国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」(委員長・高良倉吉琉球大名誉教授)の20年度第1回防災ワーキンググループ会議で、「火災発生時の『情報共有』と『災害に対する体制』について、首里城公園全体としての仕組みが十分ではなかった」などと報告された。
委員会で国と県は首里城公園全体の一体的な管理体制の構築を確認した。ハード面では国営、県営区域双方の防災センターで防火設備や監視カメラ映像の同時受信、消防にも同時通報する体制を構築する。
高良委員長は「復元へ向けて最大のテーマが防災・防火だ。火災に対応できなかった反省点は首里城公園全体での防災意識がなかったことだ」と述べた。