「辺野古以外の県内移設」バイデン政権で浮上も…佐藤優氏、県民同士の分断に警鐘 琉球新報デジタルセミナー


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琉球新報のウェブセミナーで、2021年の沖縄や日本、米新政権について語る佐藤優氏

 琉球新報デジタルのウェブセミナー「佐藤優が読み解く2021」が27日夜に開かれ、元外務省主任分析官で作家・佐藤優氏が登壇した。バイデン米大統領誕生後の日米関係からみた今後の沖縄や、現在の沖縄県政の課題、自身と沖縄の関わりについて率直に語った。約80人が視聴した。

 佐藤氏は、バイデン米政権の誕生で米中関係の緊張が高まった場合「日本にとって沖縄は国防の島としての比重が増す」として「辺野古移設実現を待つ余裕がなくなり、別の移設先を県内で探すという動きが出る可能性がある」と推測。その上で「その時の沖縄側の対応で沖縄人が分断されずに一つの立場を形成できるかどうか。ここで沖縄のアイデンティティーが問われてくる」と強調した。

 沖縄の人のアイデンティティーに触れ「(県民人口は145万だが)沖縄にルーツがあり、アイデンティティーを持っている人は日本に500万人はいると思う。無視できない少数派で、自己決定論からすると大事だ」と強調した。

 さらに「オール沖縄がイデオロギー化したら翁長雄志前知事が言っていたオール沖縄ではない」と指摘。玉城県政には「もっと市町村を歩いて、草の根の声を直接聞いて政策に生かしてほしい」と述べた。

 佐藤氏は1985年に外務省に入省し、ソ連やロシアの政情に密着。現在は琉球新報に「ウチナー評論」を連載するなど作家、コメンテーターとして幅広く活動している。母は久米島出身。主な著書に「国家の罠」「自壊する帝国」などがある。

<連載>佐藤優のウチナー評論
https://ryukyushimpo.jp/special/entry-907216.html

<今年最初の寄稿>「緊急事態と国民不安 10万円金券配布を提案」(2021.1.9)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1253819.html