ハンドボールの女子日本代表を務め続けて東京五輪でも選出を狙う池原綾香(那覇西高―日体大出)は、デンマークの強豪チームで世界レベルの力と技を体にたたき込んでいる。同国の1部リーグに移り4年目。所属するオーデンセには今季合流した。主力としてポジションをつかみ取り活躍している。五輪延期もこの1年が「いい準備期間となっている」と代表入りへの意欲を強くする。この五輪の舞台こそが最大のモチベーションだ。 (謝花史哲)
今季が昨年8月にスタートし、現在チームは16勝2敗(現地時間1月28日現在)で1位とリーグ上位争いを繰り広げる。池原は右サイドに入り、要所で得点を決め、勝利に貢献。けがを抱えながらもコンディションを整え、チーム内争いにも負けじと心身の状態を高めている。
ただ、コロナ禍で移動制限を強いられ、五輪まで半年を切るなかで代表チームに合流できないもどかしい日々が続く。昨年11月末の日本合宿も招集はかかった。しかし日本帰国後、2週間の隔離措置などがあるため、参加は見送られた。
「(2019年世界選手権が開催された)熊本大会から1年以上みんなと会っていない」と不安はぬぐえない。それでもキャプテンら代表メンバーらとはデジタルツールを使うなどして連絡を取り合い情報を共有。「目標は変わらない」と奮起し、モチベーション維持につなげているという。
海外勢に比べ高さやパワーで見劣りする日本にとってパスワークの速さや連動性が勝負の鍵を握る。代表候補の中でも、欧州を舞台に得点感覚を磨いてきた右サイドの池原に求められる役割も大きくなる。
今季オーデンセはデンマークリーグをこなす一方、欧州のチャンピオンズリーグへの出場権もあり、なかなか経験できない欧州各国リーグのチームとも戦いを重ねている。代表合宿には参加できないが、オーデンセのウルリック・キルケリー監督が日本代表女子の監督を務めるなど、この環境は池原にとって好材料となっている。
強豪そろう欧州勢について「プレーが安定しているのもあるが、自分を持っていて勝負強さがある」と個々の技量以上にメンタルの強さに「学ぶことが多い」と語る。自身に関しては「ミスしたことにフォーカスするのではなく、次に向かう姿勢が身に付いた。過去の失敗を振り返るネガティブさはなくなり以前よりは前に進めるようになってきた」と成長を実感している。
代表では「私も年齢が高くなってきた」と笑い「欧州で学んだことを還元し、メンバーがプレーしやすい環境づくりをしたい」とチーム内での役割についてイメージを膨らませる。コロナ禍で合流の見通しは立たない。それでも「私が代表に入ったことで雰囲気が良くなり、士気が上がればいい。良い刺激を与えるようなプレーや発言ができるよう準備したい」と強い覚悟だ。