【識者談話】選択的夫婦別姓 沖縄で賛成が多い理由とは 棚村政行・早稲田大教授


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棚村 政行(早稲田大教授)

 選択的夫婦別姓について賛成が反対の何倍かを比較した「賛否倍率」で、沖縄が全国1位となった要因は、婚姻率と離婚率の高さが挙げられる。また、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」を見ると、沖縄県は2018年で1・89と、30年以上全国一が続いている。子どものいる夫婦の離婚も多く、経済的にも社会的にも女性が自立していることを意味する。

 東京商工リサーチによる都道府県別の企業数と女性社長数を比べた「女性社長率」も沖縄県が全国1位だった。女性が働き、経済を回す役割を担っており、離婚や再婚で姓を変えなければならないのは不便だという現実的な考え方がうかがえる。

 沖縄はトートーメー(位牌(いはい))の継承など男性中心の思想が根強い地域だ。一方で、多様性や国際性が豊かな土地で、女性活躍の基盤がある。女性議員の比率は低いものの、選択的夫婦別姓の問題に限らず、自由や独立の気風が強い。こうした傾向が調査結果にも表れているように感じる。

 選択的夫婦別姓は、男性の問題でもある。自分らしく生きる環境づくりは国際競争力、社会全体の活性化に大きな役割を果たす。今回の調査結果では、自他の区別を付けて夫婦別姓についての考えを尋ねた。地域によって差が見られたものの、全ての地域で賛成が反対を上回った。社会の意識が変わりつつある現状を示したと言える。(家族法)