浦添市では2020年4月6日に新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されて以降、21年1月26日までに累計655人の感染者が確認されている。県全体の感染者は同日時点で累計7139人で、浦添市在住の感染者の割合は全体の9%で那覇市に次ぐ高さとなっている。
浦添市医師会と浦添市は20年5月、新型コロナウイルスの感染を調べるため、期間限定でPCR検査場をアイム・ユニバースてだこホールの地下駐車場に設置し、検査を実施した。病院以外の検査センター設置は県内初で、ドライブスルー方式が注目された。
だが、日常生活の中で「3密」になりやすい場所ではクラスター(感染者集団)の発生が相次いだ。20年8月に県内の学校で初めてとなるクラスターが市内の小学校で確認されるなど感染者が急増した。
事態を重く見た浦添市は昨年8月、「3密を避け、今一度感染拡大防止の徹底に協力を」と呼び掛けたが、第3波に伴い再び感染者数が増加。同年12月に市内で開かれた同級生同士の飲み会で30代の男性7人の感染が判明したほか、今年1月21日には市のサービス付き高齢者住宅とデイサービス施設で職員2人と利用者8人の計10人の感染者が確認されるなど、クラスターとその後の家庭内感染が目立つなど深刻な状況だ。
県の3度にわたる緊急事態宣言は、市内の飲食店など事業者を直撃した。休業や時短営業を余儀なくされた飲食店経営者らからは「売り上げが落ち込んで家賃や人件費などの支払いに困っている」「発注した食材の支払いができない」など悲嘆に暮れる声が相次ぐ。
こうした中、浦添市は国や県の支援策に追加する形で独自に緊急経済対策事業として、市施設で開催予定だったイベントを中止した場合の全額返還や、事業者への家賃支援、医療従事者を対象に市内の飲食店で利用できる食事券の配布などを展開。20年度の一般会計補正予算に新型コロナウイルス経済対策費を盛り込んだ。
一方、浦添市の支援策には現金給付が含まれておらず、「支援が追いついていない」と不満の声も上がる。12月17日から浦添市は那覇市や沖縄市とともに県の時短営業要請の対象になったが、那覇市のような協力金の上乗せ給付は実施していない。
新型コロナ対策について、伊礼悠記氏(38)=無所属=は「市独自の協力金創設など直接支援を拡充し、PCR検査を必要な人が必要な時に受けられる体制をつくる」としている。松本哲治氏(53)=無所属、自民、公明推薦=は「感染拡大を止めるため、スムーズにワクチンを接種する体制を整える。アフターコロナに日常を取り戻すための経済対策も果敢に取り組む」と強調した。