那覇軍港移設への姿勢、西海岸開発の考え方は <浦添市長選立候補予定者政策比較>(上)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2月7日投開票の浦添市長選には、3期目を目指す現職の松本哲治氏(53)=自民、公明推薦=と新人で浦添市議の伊礼悠記氏(38)=無所属=が立候補を表明し、一騎打ちとなる見通しだ。琉球新報が実施したアンケートや取材を基に、両氏の政治姿勢や政策を紹介する。(浦添市長選取材班)

    ◇    ◇

 選挙戦最大の争点である米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添移設について、松本氏は「容認」、伊礼氏は「反対」とし、姿勢に違いが見られた。松本氏は「SACO合意に基づき、県、那覇市も進めている。キンザー返還を求めている浦添市としても受け入れのみを反対するわけにいかない」と主張する。伊礼氏は「自然豊かな海を埋め立て造られる軍港、揺るがずに反対を貫く。県民生活に重要な那覇港の物流に永久的な悪影響が出ることが予想される」と主張した。

 軍港移設を巡っては、昨年8月に県、那覇市、浦添市の3者が軍港の位置について「北側案」とすることで合意した。選挙後の県と那覇市との協議の在り方についても違いが見られた。

 松本氏は「地元合意を堅持し、西海岸開発を促進する」と回答。一方で「県知事の発言に大きな変化があり、その真意を確認しなければならない」とした。伊礼氏は「移設なし返還で地元合意を働き掛ける」として、「選挙で明確に移設反対の私への支援が多数となれば移設は不可能になる」と強調した。

 軍港問題と密接に関わるキャンプ・キンザー跡地利用を含めた西海岸開発について、松本氏は「イノーの保全に着意した跡地利用と連動した西海岸開発を行い、国家プロジェクトとしてアジアと勝負できる最先端のまちを目指す」と訴える。伊礼氏は「跡地利用は地権者、市民、地元業者の意見を聞きながら市民本位の持続可能なグランドデザインを描き、経済発展の拠点とする」と主張した。

 「重視する政策」でも違いが見られた。両候補とも「教育・子育て」「医療・福祉」では一致したものの三つ目の選択肢として松本氏が「経済振興」を選び、伊礼氏は「基地問題」を選んだ。

 新型コロナウイルス感染拡大で市の財政状況が悪化する中、今後の行財政改革についても、それぞれの政治カラーが出た。松本氏は「PDCAサイクルの徹底による事業評価制度による施策にシフトする。指定管理者による施設の効率的な利活用など事務事業の民間委託を推進する」とした。伊礼氏は「無駄を省き、市民目線で必要なところに金と人を充てる改革を行う。AIなどを活用し、事務の効率化を図り、職員の働き方改革を進める」とした。