沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は29日、2020年度の政策金融評価報告書を発表した。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、昨年4~9月の間に中小企業4万7476社のうち、23・3%に融資を実行した実績などを取り上げた。
感染症の拡大に伴い、運転資金の融資を積極的に実施した結果、昨年9月末時点の事業資金融資残高は、19年度末比で20・2%増の9346億円に増加した。業種別内訳(件数ベース)は、宿泊・飲食サービス業が19年度比12・2%増の28・6%で割合、上昇率ともに最も高かった。感染症関連融資の実績を踏まえ、沖縄公庫は「セーフティーネットの役割を果たした」としている。
18年度に貸し付け契約をした事業者を対象に、無記名で公庫の融資効果についてアンケートを取ったところ「売上高の増加に貢献した」と回答した事業者は38・8%、「売上高を維持することに貢献した」との回答が30・0%に上った。
融資前の17年度と融資後の19年度の労働生産性(1人当たり付加価値額)の比較をみると、小規模企業は17年度の401万円から19年度は419万円となり、4・5%増加した。中・大規模企業は685万円から742万円に8・3%増加した。
今後、公庫に期待するサービスについて「企業の財務状況に関する分析・診断」が69・0%で最も高く、「企業再生に向けた支援」が66・3%、「経営計画策定に関する支援・アドバイス」が65・9%と続いた。専門家人材の紹介や事業承継支援を求める意見も多いことから、沖縄公庫は「(事業者が)今まで以上に専門化・高度化した支援体制を期待していることが分かる」と分析した。