2022年4月に県内のトヨタ車販売4社(沖縄トヨタ自動車、沖縄トヨペット、トヨタカローラ沖縄、ネッツトヨタ沖縄)が経営統合する。合計年間売上高は約450億円が見込まれ、県内企業の上位10社(東京商工リサーチ沖縄支店2019年度調べ)に入る規模となる。自動車販売を取り巻く環境の変化や新会社の事業展開などを、グループを束ねるOTM(沖縄トヨタグループ)の野原朝昌社長に聞いた。
Q:経営統合の背景に何があったのか。
「これまでは高級車のハリアーは沖縄トヨペットでしか買えないなど、経営統合する4社はそれぞれ専売車種を取り扱っていた。2010年ごろから、どの販売店でも買えるプリウスなどの車種が徐々に増えてきて、それぞれの会社が特徴を出しにくくなった」
「昨年5月にメーカーのトヨタ自動車が、全ての車種をどの販売店でも買える全国的な新販売体制を決めた。(販売代理店は)とても困った。同じ商品を取り扱っていることで、グループ内で値引き合戦が始まってしまった。結局、利益が残らなくなると、会社自体も残らなくなる。今後経営に相当影響が出るので、4社の統合を決めた」
Q:統合で狙う効果は。
「2030年ごろに沖縄の人口が減少に転じるといわれている。人口が減ると、当然車の販売台数も減少していく。従業員の雇用を維持するため、もっとコスト効率を上げないといけない。例えば、現在同じ商品を取り扱っている4社がそれぞれ出している広告費用を一つにまとめる。採用も1社で集約すると、大勢の人を1回で採用できる」
Q:社名はどうなるか。
「沖縄トヨタ自動車を存続会社として経営していく。既に統合となった県外のトヨタ販売会社では、『モビリティ』という名前を付けたところもある。そこでトヨタモビリティ沖縄という会社名も考えたのだが認知度がないので、沖縄トヨタ自動車という社名に統一する」
「沖縄トヨタ自動車は今年で創業70年になる。(社名を変えないことで)歴史を71年、72年に積み上げられ、県民の認知も損なうことはない」
Q:今後の事業展開は。
「4社は互いに競争してきたが、1社に変わるとグループ内の競争もなくなる。他社との競争に向け、一丸となって自動車販売事業などを進めていく」
「現在、各4社の本社内にauショップも併設している。今後、自動車販売だけでなく、情報通信・携帯のビジネスも強力に実施していきたい」
(聞き手 呉俐君)