データで見る浦添市長選 対決構図は?過去の選挙から見えてきた特徴は?


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 【浦添】7日投開票の浦添市長選は4日、選挙戦終盤の「三日攻防」に突入した。立候補している現職の松本哲治氏(53)=無所属、自民、公明推薦=と、新人で前浦添市議の伊礼悠記氏(38)の両陣営は4日、街宣車や会員制交流サイト(SNS)で支持を訴えた。今回は前回の市長選と同様、一騎打ちの構図だ。松本氏は50代、伊礼氏は30代と、両候補とも子育て世代を代表する顔触れなのが特徴だ。市長選を巡る政治勢力の変化も大きい。過去の投票率や選挙結果などから動向を探った。

<対決構図>知事選の代理戦様相

 来年の県知事選の前哨戦として位置付けられる市長選は、松本哲治氏を推す政府・与党と、伊礼悠記氏を推す玉城デニー知事との“代理戦”の様相も呈している。対決構図は1月の宮古島市長選と似ているが、那覇軍港移設を巡る意見の相違などから県政与党内では静観する勢力もある。一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下で、前回の市長選とは打って変わって、両陣営とも東京から党幹部などの沖縄入りは実現していない。

 松本氏は、自民、公明両党に加えて元・日本維新の会所属の下地幹郎衆院議員率いる保守系議員グループの支援を受ける。経済界では、前回自主投票だった浦添商工会議所の政治団体・日本商工連盟浦添地区も松本氏支援に回った。

 伊礼氏は、共産党を筆頭に「オール沖縄」勢力の社民、社大、立憲民主の4政党と政治団体「新しい風・にぬふぁぶし」の支援を受ける。玉城知事も告示日前日にため書きを送ったほか、3日には伊礼氏と共に市内を遊説した。

 一方、静観の構えをみせるのが、浦添市選出で県政与党の赤嶺昇県議会議長と同氏に近い市議選候補者だ。赤嶺氏は軍港移設「容認」の立場のため、市長選ではどちらの候補も支持しない考えだ。

<特徴>若手の挑戦定着
 

 市長選に立候補している現職の松本哲治氏(53)、新人で前市議の伊礼悠記氏(38)は共に子育て世代だ。8年前に浦添市長史上2番目の若さとなる45歳で初当選した松本氏に、史上最年少候補の伊礼氏が挑む。前回の市長選も40代候補による一騎打ちで、浦添市ではこれまでより若い世代の市長選への挑戦が定着しつつある。

 3選を目指す松本氏は45歳の時に、市議を2期務めた伊礼氏は30歳で、政治の道に進んだ。浦添市の最年少市長は1980年に44歳で初当選し、その後4期務めた比嘉昇氏だ。

 三つどもえとなった2013年の市長選で現職を破った松本氏は当時45歳で、比嘉氏に次ぐ若さだった。今回、伊礼氏が初当選すれば最年少記録を塗り替えることになる。

 一方、市議選に出馬している32人の平均年齢は52.8歳で、前回の51.5歳を若干上回ったものの、前々回(53.9歳)も含め候補者の平均年齢は50代前半となっている。

 浦添市は全国的に見ても人口に占める若年層の割合が高く、20~40代の候補者が12人と、全体の4割弱を占める背景には、こうした事情もありそうだ。若年層への訴えが投票率向上につながることも期待される。

<投票率>01年以降続く下降 コロナ、どう影響か 前回17年は61.37%
 

 2017年の前回浦添市長選の投票率は61.37%で、過去3番目に低かった。市長選の投票率は01年(74.27%)以降、下がり続けている。今回、松本哲治氏、伊礼悠記氏の両陣営には、新型コロナウイルス感染拡大の影響による投票率低下を懸念する声がある一方、コロナ禍で政治への関心が高まると期待する声もある。松本氏の陣営は投票率約60%、伊礼氏の陣営は65%と想定する。

 浦添市の選挙人名簿登録者数は1月30日現在、9万964人(男性4万3552人、女性4万7412人)。松本氏の陣営は3万1千票、伊礼氏の陣営は3万3千票の獲得を目指す。

 期日前投票者数は2月1~4日の4日間で1万1882人となっており、前回の同期間(8989人)より増えている。前回は1カ所だった期日前投票所が、今回は3カ所に増えていることが一因とみられる。