美里工初戦突破を目指す 初めての全国挑戦に闘志 空手高校選抜大会


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組手の練習に熱が入る美里工の座喜味凌雅主将(右)

 本年度から空手道の全国高校選抜大会(3月24~26日、東京体育館)に導入された特別枠「夢・きぼう枠」に選出され、男子の団体組手で出場を決めた美里工。4日、同校の武道場には、吉報の興奮冷めやらない部員たちの気合の入った掛け声がこだましていた。座喜味凌雅主将は「体力と技を鍛え、1勝を狙いたい」と夢舞台へ気持ちを奮い立たせる。同校初となる団体での全国挑戦に向け、心身の鍛錬に余念がない。

 「腰をぐっと入れて」「硬い、力抜け」。就任4年目で、現在の美里工の礎を築いた仲座寛徳監督の熱のこもった指示が飛ぶ。呼応するように、選手も突きや蹴りを繰り出す度に「気合」の声を張り上げる。仲座監督は「練習でもガンガン攻めて、普段と全然違う」と部員のモチベーションの高さに目を見張った。

 学校に電話で一報が入ったのは1日昼過ぎ。資格取得や地域の清掃活動などが評価されての選出だった。放課後すぐに伝えると、選手たちは「うおー!」と喜びを爆発させたという。座喜味主将は「これまで頑張ってきた。聞いた時はめちゃくちゃうれしかった」と振り返る。初心者にも声を掛けながら、部を強豪に育て上げた仲座監督は「ゴールは県総体で優勝して自力で全国切符を取ること。その前にこういう機会がもらえたことはありがたい」と頬を緩める。

 「努力=克己+積重+勇気」という部訓の下、基礎の徹底を積み上げてきた選手たち。夏合宿では一日に突き千本、蹴り800本をこなした。全国選抜の出場権を懸けた昨年11月の全九州新人大会では、初戦で敗れたが、次鋒として善戦した1年の小峯流空は「基本の部分では負けてない。押し負けもしなかった」と手応えを語る。

 本番まであと1カ月半。県独自の緊急事態宣言下で部活動の時間や対外試合が制限されているが、部内でのリーグ戦で実戦感覚を保つ。部員は8人。お互いがレギュラー5人の枠を争うライバルでもある。平良乙陸副主将は「全国の力を見られるのが楽しみ。圧のかけ方や残心を鍛えたい」と成長を求める。

 座喜味主将も強豪ぞろいの全国を想定し「技のバリエーションと体力がもっと必要」と気合を入れる。自身を含め2年生は3人で、それ以外は1年生だ。「キャプテンらしく、はきはきと声掛けし、みんなを引っ張っていきたい」と先頭で戦う決意だ。

全国選抜大会に向け気合が入る美里工空手部のメンバーら=4日午後、沖縄市の同校(喜瀬守昭撮影)