食品ロス減へ、余った食材を弁当として販売 ベッセルホテル石垣島の朝食ビュッフェ 


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朝食ビュッフェの余った食材を詰め合わせた弁当をPRするベッセルホテル石垣島の佐久川真由美支配人=22日、石垣市浜崎町の同ホテル

 【石垣】朝食ビュッフェから出る食品ロスを減らすため、石垣市内のビジネスホテル「ベッセルホテル石垣島」は昨年12月から、余った食材を弁当として販売している。廃棄量を減らせないかとの思いに、コロナ禍が重なって始めた取り組み。ホテル側には好意的に受け止める声が寄せられ、SNSなどでも話題となっっている。

 ベッセルホテル石垣島は、沖縄らしいメニューを中心に約70種類をそろえるなど、宿泊客の満足度向上のために朝食ビュッフェに力を入れる。トリップアドバイザーの「旅好きが選ぶ!日本人に人気の朝食のおいしいホテル」でも、2018年から3年連続ランクインしている。

 朝食へのこだわりはメニューだけではない。遅めに朝食を楽しむ客のことを考え、「食事が少ないトレーを見てがっかりしないように」(佐久川真由美支配人)と、朝食の終了時間近くでもトレーに食事が盛られているように提供してきた。半面で、食品ロスも増やす形となった。

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でビュッフェが敬遠されたことなどから、さらに廃棄量は増えた。一方で、朝食を楽しみにしている客が多くいることは、ビュッフェの中断期間に肌で感じていた。「捨てたくもないし、お客さんにも喜んでほしい」と悩み、始めたのが余った食材での弁当販売だった。

 余ったビュッフェメニューから弁当でも使えるチャンプルーやだし巻き卵などを詰め合わせる。食品ロスを減らすのが目的のため、350円で販売する。1日5食程度の提供だが、食品廃棄量が以前の半分程度の日もあるという。

 佐久川支配人は「当初は抵抗感があるのではないかと思っていたが、意外にも受け入れてもらえ、皆さんのエコへの関心の高さに気付かされた」と反響に驚く。ほぼ完売で提供数も簡単に増やせないため「毎日断るのは心苦しい」としながら、「地元の人にも弁当で、うちのホテルの朝食を味わってもらえてうれしい」と笑顔を見せた。