<県内政局>自公 県政奪還へ弾み「オール沖縄」結束に課題


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勝利に向けて気勢を上げる松本哲治氏(壇上中央)と応援弁士ら=1月31日、浦添市伊祖の選挙事務所

 来年秋に実施される県知事選の前哨戦に位置付けられた浦添市長選は自民、公明両党が推した松本哲治氏が3選を果たした。1月の宮古島市長選で敗北した自公にとって、県政奪還への足掛かりを得たと同時に4月のうるま市長選や、年内にある衆院選に弾みを付けた。

 一方、県政与党は選挙戦の最大争点だった軍港移設を巡る意見の相違などが原因で「オール沖縄」態勢を構築することができず、課題を残す結果となった。

 政府与党にとって今回の浦添市長選は「絶対に落とせない」選挙だった。菅義偉首相は宮古島市長選に続き自身の秘書を投入し、経済界の引き締めを図った。菅政権は今後も県内の主な選挙に積極的に介入するとみられる。

 一方、玉城デニー知事にとって今回の敗北は痛手で、求心力に影響しそうだ。玉城知事は軍港移設「容認」の立場のため、移設反対を訴えた伊礼氏の応援演説には立たない予定だったが、知事の強い意向で急きょ現地入りした。

 そのため、与党内からは知事の一連の行動に批判が出るなど、「オール沖縄」内に不協和音が生じており、今後、結束に向けた玉城知事の主導力が問われそうだ。

(吉田健一)