浦添市長選で現職の松本哲治氏が当選したことで、浦添市に加え、政府と県、那覇市などの間で米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設に向けた議論が継続することになる。ただ、移設反対の意見が県内で根強いことや県との足並みの乱れも予想され、実際に移設が円滑に進むかどうかは不透明だ。 (明真南斗)
県と、那覇、浦添両市のトップは2020年8月、浦添ふ頭地区の北側に那覇軍港の代替施設を移すことで一致した。松本氏の再選で、この3者合意が政治的な議論の起点となる。
県と両市でつくる那覇港管理組合は年度内を目標に民港の形状案をまとめている。その後、防衛省が軍港の配置を当てはめる見込み。計画策定後も環境影響評価や埋め立て承認など手続きを控えており、着工時期は見通せない。普天間飛行場の名護市辺野古移設のように、後から新機能が判明すれば県内の反発は強まる。
玉城デニー知事は故翁長雄志前知事の路線を踏襲して軍港移設を容認しているが、県議会与党や支持者は反対が多数を占める。玉城知事は20年10月、那覇軍港の遊休化を指摘して先行返還を政府に求めていた。移設反対の伊礼悠記氏が勝てば移設反対に切り替える契機になり得たが、板挟みの状態は今後も続きそうだ。