辺野古サンゴ訴訟、沖縄県が上告 福岡高裁での敗訴受け


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埋め立てや護岸工事が進められる新基地建設現場=2020年9月3日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局のサンゴ類移植申請を巡って国を相手に起こした訴訟で、県は10日、県の請求を棄却した福岡高裁那覇支部の判決を不服とし、最高裁へ上告した。県はこの裁判で、県の審査を差し置いて移植を許可するよう求めた農林水産相の是正指示が違法だと主張しているが、高裁は3日、県の訴えを退けた。

 高裁判決が出た3日、玉城デニー知事は、設計変更が予定されていても、完成する前提でサンゴ移植を認めるべきだったとした判決内容に対し「結果的に無益な工事になったとしても工事が施工されることを前提に許否の判断をしなければならないという、常識では考えられない内容だ」と反発していた。

 この裁判は新基地建設を巡る国と県の9件目の裁判に当たる。防衛局は2019年、県に計約4万群体のサンゴ類の移植許可を申請した。農水相は20年2月、移植を許可するよう県に指示した。県は、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に申し出たが退けられ、20年7月に訴えを起こした。