毎日新聞論説委員・元村有希子さんが語った「リスク時代」を生き抜く知恵とは 琉球フォーラム


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「リスクの時代を生き抜く知恵」と題してリモートで講演する元村有希子氏=10日、那覇市のパシフィックホテル沖縄

 会員制の「琉球フォーラム」(主宰・玻名城泰山琉球新報社長)の2月例会が10日、那覇市のパシフィックホテル沖縄で開催され、毎日新聞社論説委員で科学に詳しい元村有希子さんが「『リスクの時代』を生き抜く知恵」と題して講演した。地球規模の環境問題や経済格差などのリスクに対処する上で「科学は欠かせないが、科学が唯一の答えを最初から出せるとは限らないことを踏まえる姿勢が大切だ」と語った。

 元村さんはリスクを「人間の文明社会に付きものの影の部分と考えていい」と指摘した。科学技術はリスク回避に役立ち生活を豊かにする半面、環境公害など新たなリスクを引き起こし命を脅かす負の側面があるとし、光と影の両方に目を向ける必要性を説いた。

元村有希子さんの話を聞く会員ら=10日、那覇市のパシフィックホテル沖縄

 新型コロナウイルスに関しては、恩恵の大きいグローバル化が感染を広げるリスクにもつながるジレンマがあると説明した。女性や非正規雇用者、中小企業などにリスクが偏る傾向が、コロナ禍で一層浮き彫りになっているとの見方を示した。

 リスク社会を生き抜く上で、日本の里山・里海の思想などに触れ「人間という地球の最大のリスクを自覚し、知恵に限界があることを踏まえていく。解けない問題を解くには、今までと違う行動や思考パターンが重要だ」と語った。

 新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長に伴い、リモートでの講演となった。