「何が問題か分かっていない」森会長辞意 沖縄県内の弁護士や教員も批判 


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言への批判を受けて辞意を固めたことについて11日、沖縄県内からは「当然だ」と受け止めつつ、同様の差別的な考えを持つ人や社会全体にも変化を求める声が上がった。

 沖縄弁護士会(村上尚子会長)は10日、発言に抗議する会長談話を出し、組織委や日本オリンピック委員会(JOC)に送付した。森氏の辞意を受けて11日、村上会長は「辞任は当然だが、本人は何が問題か分かっていない様子だった。世論の動きで辞めざるを得なくなったのだろう」とみる。発言には男性アスリートや大会スポンサーとなる企業も批判の声を上げた。「社会が変化する中で政治家だけが時代に取り残されていることが明確になった」と話し、森氏同様の考え方をする政治家に「自分たちが遅れていることを肝に銘じて」とくぎを刺した。

 教員らが参加する「ジェンダー問題を考える会」会員で高校教諭の外間ひろみさんは、森氏の発言に「『女性はおしゃべりが長いからわきまえるべき』というメッセージを受け取った女子生徒もいた」と明かす。教員にも発言を問題視しない人もいるなど温度差があるといい、批判が高まって森氏が辞意を固めたことで「このような発言はだめだと改めて認識してほしい」と求めた。

 沖縄キリスト教学院大学の新垣誠教授(ジェンダー論)は「特に政治の世界では、男性が女性を締め出すような風潮がまだある。既得権益を手放したくないのだろう」と話す。発言への批判を疑問視する動きもあったことに「差別意識が残っている人とそうでない人との溝がはっきりした。無意識の差別について世の中の意識が高まり変わりつつあるが、スピードが遅い」と指摘した。