2月14日はバレンタインデー。日本では女性から男性にチョコレートを贈ることが定着しているが、海外では男性から女性へ花を贈って愛や感謝を伝える習慣がある。近年は日本でも「フラワーバレンタイン」と称して、気軽に花を贈ろうという動きがある。新型コロナウイルスの影響で需要が低迷し、花卉(かき)業界は依然として厳しい状況にある。バレンタインデーが消費拡大のきっかけになればと、県内のフラワーショップは販売に力を入れている。
12日午後、那覇市樋川の「のうれんプラザ」内のナガミネ生花には、商品を受け取りに来る客や切り花を選ぶ客が途切れなかった。同店はバレンタイン用のギフトセットとして、ドライフラワーにカフェ「ヤマカスタンド」(那覇市牧志)のマフィンを組み合わせて販売する。既に20セットが予約完売した。
ギフトセットの受け取りに訪れた大城藍さん(32)=南風原町=は、「普段からイベントがある時に花を買っている。ギフトセットは義理のお母さんにあげたい」と話した。
同店はバレンタインデーに向けて、花の仕入れを通常の1・2倍に増やした。スタッフの中田麻乃さんは「日本ではチョコレートが主流で、花を贈る人はまだ少ない。花は気分を晴らしてくれる。(バレンタインが)花を買うきっかけにつながればいい」と期待した。
国内のフラワーバレンタインは、2011年に約6500の花店が参加してキャンペーンを実施したのがきっかけで、10年続いてきた。恋人や友人、家族など誰にでも気軽に花を贈る日にしてほしいと呼び掛けており、県内でもバレンタインに合わせて県産トルコギキョウのPRなどが行われてきた。
県中央卸売市場では10日、1週間前より37・5%多い8万4117本の切り花が取引された。市場担当者によると、この時期の取引増加の要因は米軍基地内におけるバレンタインの花需要だといい、フラワーバレンタインの県民への浸透は、なかなか目立っていないという。
新型コロナによるイベントの自粛で、花の販売は低迷する。特に直接会って手渡す切り花は、コロナ禍では需要が見込めない状況もあるという。卸売市場の担当者は「県外ではアパレルショップとコラボして、花を売るところもある。県内でも根本的に販売方法を見直すことが必要になるだろう」と話した。