「思い切って組織のリセットを」森氏の後任に沖縄からの注文


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(左から)安里睦子氏 渕辺美紀氏 島袋コウ氏

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言への批判を受けて会長を辞任し、後任に橋本聖子五輪相の名前が浮上した。一方、組織委は選考委員会で決める方針を表明した。後任人事に関しては県内から「思い切ってリセットを」「マスコット的な起用は良くない」との声が上がった。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「これまで一生懸命頑張ってきた功績まで無視したくはない。そこには感謝しつつ、あの発言は極めて不適切で残念だった」と話した。後任人事について「(オリンピックの)シンボルになる人なので、時間は限られているが、ある程度国民に見える形で決めていくのが大事だと思う。(密室で決めて)不信感を上乗せするのは良くない。国民が応援しやすい組織になるように、思い切ってリセットする機会にしてはどうか」と話した。

 菓子製造販売ナンポーの安里睦子社長は「実際、会議が長いのは事実。でもそれは女性が議論に対して真剣に向き合っているためだ。その意味が伝わらずに否定されるのは面白くない」と話す。後任の会長の選出については「その人の本質を見ずに安易に女性をマスコット的に起用しようとするのは良くない」とした上で、「性別、年齢問わず、責務を果たし、最後まで覚悟を持てる人が適任だ」と述べた。

 ジェンダー問題に関心が高いモバイルプリンスこと島袋コウさんは森氏の発言を「ひどい発言だが『いつものことだ』と慣れている自分がいることも感じた。それは自分が性差別の不利益を被らない男性だから」と自身を見詰める。意思決定が実質、男性だけで行われ、女性は席を与えられなかったり意見を言うと迷惑がられたりする構造は「メディアなど別の組織にもある」と指摘し「森さんの個人的な問題とせず、誰もが『自分はどうか』と顧みることが大事ではないか」と話した。