パラリンピックの種目・ゴールボールのプレーヤーとして、第一線で奮闘する八重瀬町出身の安室早姫(27)=沖縄盲学校―筑波大付視覚特別支援学校高等部―明治大出。昨年行われた東京パラリンピックの代表選考には漏れたものの、1年延期となったことで一部選手の内定が見直されることとなり、代表入りのチャンスが再び出てきた。安室は「守りながら得点の取れるプレーヤーを目指したい」と憧れの舞台でのプレーを思い描く。
ゴールボールは視覚障がいのある選手がプレーする3人制のチーム競技だ。ゴールポストへのシュートによる得点を競う。鈴の入ったボールを使い、音を頼りに攻守を繰り広げる。
安室は1歳頃に病で視力を失った。競技を始めたのは高等部2年のとき。教師の勧めがきっかけだった。鋭い聴力を生かした抜群の守備力で頭角を現し、国際大会にも参加するなど、国内でも有数のプレーヤーに成長した。
20年は3月にカナダでの国際大会に出場したが、国内ではコロナ禍の影響で「(所属する)クラブチームでの活動が思うようにできなかった」という。だが「6月からは月に20日間の泊まり込みの合宿を組んでもらい、ナショナルチームの選手と一緒にできていた」と、質の高い練習環境を保つことができた。
守備が持ち味の安室が目標として掲げていたのが、攻撃力の向上だった。そのために昨年はフォームの改善に着手し「威力のあるボールが投げられるようになってきている。チームメートからも『嫌なボールになってきた』と言ってもらえるようになった」と、攻撃面での成長に手応えを得ている。
パラリンピックへ仕切り直しとなる21年を迎え、2月には昨年3月以来の実戦となるジャパンパラ大会に出場。日本代表同士の紅白戦で、Bチームのメンバーとして戦った。
1点を争う緊迫した試合展開で後半から出場した安室は、安定の守備力を発揮してチームの無失点に貢献。攻撃ではゴールこそならなかったが、力強さを増したショットを何度も放ち、代表入りへ持ち味を示した。
約1年ぶりの実戦に「こんな大きなところでプレーするのも久しぶり」と声を弾ませた。日本代表同士が手を合わせたジャパンパラ大会は、東京大会の代表入りへ向けた絶好のアピールの場だった。「落ち着いて、しっかり自分のプレーができた」と胸を張った。
再び巡ってきたパラリンピック代表入りのチャンス。夢舞台での活躍を期す27歳は「東京大会の代表に選んでもらえたら、自分のパフォーマンスを発揮できるように頑張っていきたい」と強い意欲を示した。
(普久原裕南首都圏通信員)