辺野古工事で移植の希少サンゴ、過半数が死滅 防衛局「工事の影響」否定


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辺野古新基地建設に伴い移植したオキナワハマサンゴの生息状況モニタリング調査の様子=2020年2月(沖縄防衛局の資料より)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事で沖縄防衛局は17日、第30回環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大大学院教授)を嘉手納町の沖縄防衛局で開いた。2018年に防衛局が埋め立て海域から移植した絶滅危惧種オキナワハマサンゴ9群体のうち、5群体目の死滅が確認されたと公表した。死滅したのは昨年10月20日とみられる。防衛局は移植が原因ではないとしている。

 オキナワハマサンゴの移植を巡って防衛省は、一部で幼生の放出が確認されたことから「移植は成功している」としていた。一方、環境団体や県は妥当性を疑問視してきた。

 この日の委員会で事務局の防衛局は、移植先の海域にもともと生息していたオキナワハマサンゴも併せてモニタリングした結果、死滅した事例が確認されたとして、移植は死滅の原因ではないとしている。もともと生息していたオキナワハマサンゴのモニタリングでは、12群体のうち5群体の死滅が確認されている。

 終了後に記者会見した中村委員長によると、委員からは死滅は工事の影響だとする指摘はなかった。一方、このサンゴの年間生存率を調べるためにモニタリング対象を増やすことを求める意見があった。