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中小企業の事業承継 現状把握から始める〈けいざい風水〉


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 事業承継の話は面倒くさいし難しいから、そのうち考えればいい―と思っていませんか。中小企業白書によれば、社長の年齢が上がるとともに後継者がいる割合は増えるものの、60代では約半数が後継者不在となっています。しかし、事業承継は中小企業オーナーの家族、従業員、取引先の生活にも影響する問題であり、重い腰を上げ、まずは現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。現状を客観的に見ることでいろいろな問題に気付くと思います。

 一般的に業績が好調で、毎年利益を積み上げる法人や、保有する土地で多額の含み益を有する法人は自社株式の評価額が高く、税務対策を優先しがちです。もちろん税務対策も重要ですが、中小企業の事業承継で一番大事なことは経営承継(≒法人支配権の承継)であり、その過程で経営管理と税務対策が必要になります。

 中小企業オーナーの事業承継と相続対策における成功のカギは、経営承継にあると言っても過言ではありません。後継者不在の場合は、親族外の後継者を雇われ社長として招聘(しょうへい)することや、M&Aで経営権を売却する手法を視野に入れることも必要かもしれません。

 税務対策、企業経営、不動産活用、金融資産運用、生命保険など、検討すべきことは多岐にわたりますが、苦労して築いてきた事業をどのように残し、誰に引き継ぐか。個人資産の相続も含め人それぞれであり、経営者の考え方や思いに合わせたオーダーメイドの事業承継があります。まずは包括的なアドバイスを提供できる金融機関や税理士へ相談してみることをお勧めします。

(沖縄銀行宜野湾支店兼我如古支店支店長 仲尾昌義)