食料支援利用20~40代も 低賃金やコロナ解雇…生活に打撃


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 コロナ禍で生活に困る人への食料配布など、民間の活動が活発化している。生活困窮者への食料支援を行う「ゆいまーるの会」は、支援の対象を絞っていないが、利用者の大半は高齢者である一方で、仕事を失った20~40代もいる。失業・求職者の中には「自分がもらっていいのか」と戸惑う人もいるが、その背景にはコロナ禍以前から続く県内の低賃金などの労働環境や、困窮者に十分対応できていない福祉政策の課題が見える。(黒田華)

 40代女性は飲食店で「2週間連続の勤務もあった」といい、体が悲鳴を上げ昨秋に退職した。ハローワークから求人誌まで、求人情報をくまなく調べているが、再就職は決まらない。1月に特例貸し付けを申請した。決定するまで生活費が持たず、「子どももいない自分が来ていいのか」と戸惑いながらも、思い切って食料支援に足を運んだ。

 働いている時から余裕はなかった。全国の都市部に比べて沖縄の時給は低く、フルタイムで働いても生活は厳しい。一方、納める消費税や年金は全国一律だ。「あんなに取られても何もしてもらえない。働かないと生きられない」。緊急事態宣言下で、外出自粛を求められても求人情報を探して歩いていた。食料配布に並ぶ人の列に目を向け、「先進国じゃない。戦時中の配給みたいだ」。

 1月に初めて食料支援を利用した30代男性は、コロナ禍が始まった昨年3月、勤めていたホテルを解雇された。探しても条件に合う仕事が見つからず、政府の特例貸し付けで何とか生き延びてきた。

 しかし、合計7カ月の貸し付けも昨秋で終わり、それ以降は生活資金を得る手だてがなくなった。携帯電話も使えなくなった。
 ハローワークなど関係機関にも通い、求職活動を続けているが、道は開けていない。生活保護も考えた。しかし、相談した自治体窓口では「まだ若いから頑張って」としか言われなかったという。頼れる人は近くにいない。社会福祉協議会などの食料支援を受け取り、週に3回食事ができればいい方だ。「絶望しかない」。細身の体でつぶやいた。

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 ゆいまーるの会は食費の寄付や食品の寄贈のほか、助成金の申請などのボランティアも募集している。問い合わせは嘉手苅さん(電話)090(3793)7906。食品の寄付は那覇市社会福祉協議会でも受け付ける。

 

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