1987年に、首里城正殿跡の遺構の全体を上空から撮影した写真を元報道カメラマンで「池宮商会」顧問・代表取締役の池宮城晃さん(72)=那覇市=が公開した。撮影時期は首里城正殿が1992年に復元される前の遺構調査の期間中だった。池宮城さん自身が撮ったもので、昨年末にフィルムを整理している際に確認した。
首里城は沖縄戦で破壊された。跡地に戦後、琉球大学が建設されたが、琉大は西原町に移転した。旧琉大跡地に首里城が復元されることになった。
首里城正殿の遺構跡は、県が85年7月から約2年間、発掘調査を実施した。調査期間中に上空からの遺構の全景を撮影した写真は県の発掘調査報告書にも残っている。埋蔵文化財の調査・研究を担う県立埋蔵文化財センターの亀島慎吾さんは「調査が行われた約2年間だけ撮影することができた写真だ。この時期の正殿跡の写真はどれも重要だと考える」と指摘した。
池宮城さんは87年の撮影当時、那覇空港から知人が操縦するヘリに搭乗し、国際通りや首里の周辺を飛行し、地上の風景を写したという。その中に首里城正殿跡の写真も入っていた。
池宮城さんは85年7月の撮影時の状況について「首里城の跡がよくもこれだけ残っていたなと感動し、シャッターを切った」と振り返る。
その後、池宮城さんは、1992年に首里城が復元され、首里城公園が開園して間もない時期の上空からの写真も撮影した。2019年10月末に火災で焼失した首里城の再建について「早く進め過ぎているのではないか。また火災で燃えないようにどうするのかなども含めて、もっといろんな検討をした上で、進めてもいいと思う」とも語った。