「家族の絆、壊れるの?」 夫婦別姓を実践する両親のもとで育った子の思い


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「私たちは明るくて、楽しい家族」と語る(左から)新垣並生さん、昌生さん、祐生さん=豊見城市(ジャン松元撮影)

  結婚時に夫婦で同姓にするか、別姓にするかを自由に選べる「選択的夫婦別姓制度」。導入を巡り、国会ではさまざまな議論が繰り広げられている。一部の国会議員からは「家族の絆が壊れる」「子どもがかわいそう」などの発言も。夫婦別姓の家庭で育った子どもたちはどのような思いを抱いているのだろうか。

 「『何で家族の絆が壊れるんですか』と言いたい!」。中学生の妹の力強い言葉に姉2人は感心した。

 県内に住む新垣栄さん(52)と糸数貴子さん(52)は夫婦別姓を実践しながら長女の新垣並生さん(26)、次女の昌生さん(24)、三女の祐生さん(14)を育てた。祐生さんは「私たちは明るくて楽しい家族」と胸を張る。

 並生さんにとって、物心ついた時から両親の姓が異なるのは当たり前だった。「『なぜお母さんの名字が違うの?』と聞かれることはあったが『夫婦別姓だから』と返しただけ。姓が違うことに何の違和感も感じなかった」という。昌生さんも「他の人は複雑な家族だと見ていたかもしれないけど、私たちが意識することは特になかった」

 栄さんと貴子さんは年末調整などの手続き上で必要な場合に婚姻届と離婚届の提出を何度か行ってきた。並生さんは「私たちの見えないところで(両親の)苦労があったと思う。それでも、アイデンティティーの一つである姓を大切にしている母と、母の思いを尊重している父を尊敬している」と笑顔で語った。

 家族5人でよく食事に出掛けるという。祐生さんは「周囲からは『家族仲いいね』と言われる」と笑う。昌生さんは「名字は人生に関わることかもしれない。でも家族の絆にまでは関わらないのではないか」と話す。並生さんは「誰もが自由に別姓か同姓かを選べる時代が早く訪れてほしい」と願った。
 

(金城実倫)