病越え、相棒のカメラと友の支え…夢を胸に巣立ちの春


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(イメージ写真)

 県立高校や特別支援学校高等部の多くが1日、卒業式を行う。卒業予定者は全日制・定時制高校が1万3107人、通信制が159人、特支が339人の計1万3605人。努力で難関資格に合格した生徒、病を乗り越え夢に向かって突き進む生徒など、それぞれの生徒が3年間の歩みを胸に、学びやを巣立つ。

 浦添高校の金城栄斗さん(18)は、写真と本と友人に恵まれ、充実した3年間を過ごした。筋肉が徐々に衰える筋ジストロフィーにかかり、車いすで学校生活を過ごしたが、不便は感じなかったという。

 中学までは吹奏楽部だったが、高校は写真部に所属した。2019年の県高文連写真専門部撮影大会では、街中で信号を待つ通行人を収めた作品「つかの間の休息」で最優秀賞を受賞した。何げない一こまが思いがけず評価され「自分では何がいいのかよく分かっていなかった」。授業で黒板の書き写しが間に合わない場合は、黒板を写真に撮った。カメラは相棒だった。

 学校にエレベーターはなく、階段の上り下りは昇降機を用いた。昇降機が導入される前は、友人が6人がかりで上り下りを手伝ったことも。「(車いすごと持ち上げられて)怖さもあったが、うれしかった」と振り返る。

 充実した学校生活を送れたのは友人の存在も大きい。平地玄樹さん、近藤孝弘さん、新里恵斗さんらと自宅で遊んだり、カラオケに出掛けたりして楽しく過ごした。友人らの評価は「優しくて、しゃべりやすい」。気心知れた友人と過ごした日々は宝物だ。

 夢は図書館司書。「中学校の図書館の先生は、好きな本が入った時にいろいろ教えてくれた。その頃から図書館司書になると決めていた」という。卒業後は沖縄国際大学に進学し、資格取得に向けて勉強する。
 (稲福政俊)