eスポーツの聖地目指す 年齢や国籍超え、若者が集う場所へ<動き出す銀天街>2


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eスポーツ教室で格闘ゲームの指導を受ける子どもら=2月、沖縄市照屋の銀天街プラザ

written by 下地美夏子

 銀天街にある地域交流拠点施設「銀天街プラザ」では、商店街の枠を超えた新たな取り組みが始まっている。沖縄市からの委託を受け、同プラザを運営する「オフィス・イカリ」代表の石原イカリさん(47)が注目したのは、コンピューターゲームやビデオゲームの腕前を競う「eスポーツ」。プロ選手が直接指導するeスポーツ教室が開かれ、子どもたちが技術を磨いている。

 発想の原点は、かつてアーケード内にあり子どもたちがよく集ったゲームセンター。子どもや若者が集う場所づくりと人材育成を通して、商店街の魅力を掘り起こしたいと考えている。

 毎週水曜日に開かれる教室の参加者の対象は、小学生以上。講師を務めるのは、eスポーツ専門チーム「OKINAWA THE WAVE gaming」(沖縄ザ・ウェーブゲーミング)のチームキャプテン・K太(本名・長山啓太)さん。K太さんは、eスポーツの魅力について「性別や年齢、体格、国籍に関係なく参加でき、場所にとらわれないコミュニケーションが生まれる」と語る。

 教室を訪れた比嘉優太さん(8)=比屋根小2年=は「初めて繰り出した技が決まった時が楽しい」と目を輝かせた。将来はプロの選手を目指している。同伴した母のゆみさん(35)は「これまでの商店街にはない新たな取り組みで面白い。eスポーツをきっかけに商店街が盛り上がってほしい」と話した。

 県内では、eスポーツ大会や関連イベントが相次いで開催されるなど、盛り上がりを見せている。また、高齢者や障がい者の社会参加やリハビリテーションとしての活用も広がっているという。

 大会やイベントの企画にも携わるK太さんは「今後、銀天街からプロ選手やeスポーツに関わる人材が生まれれば、県内での聖地となる可能性を秘めている」と期待する。

 石川市(現在のうるま市石川)出身の石原さんも中高生時代、銀天街にあったゲームセンターに足を運んでいた。商店街活性化の手段の一つとしてeスポーツを取り入れたことは「ごく自然の原点回帰だった」と振り返る。今後は、商店街での大会開催なども見据える。ゲームに対するマイナスイメージも、スポーツとして払拭(ふっしょく)できるとして「障がいの有無、国籍などを超えて共有できるスポーツだ。銀天街を人と人、または地域をつなぐコミュニケーションの拠点にしたい」と意気込んでいる。


 大型スーパーの進出でかつてのにぎわいを失った銀天街。老朽化したアーケードの撤去を機に、商店街の再起への期待が高まっている。街づくりの動きを追う。