ワクチン「痛みや違和感はなかった」「安心して業務に」 医療者への接種、沖縄で始まる


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 医療従事者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が5日、琉球大学病院と県立北部病院で始まった。接種を受けた関係者らは「痛みは感じなかった」「安心して医療に取り組める」と語り、今後順次開始される高齢者など県民接種への協力も呼び掛けた。

新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける医師や看護師ら=5日午後4時すぎ、西原町上原の琉球大学医学部管理棟(新里圭蔵撮影)

 5日午後4時すぎ、西原町の琉球大学医学部管理棟では、琉球大学病院の看護師や医師らが、担当医師による体調確認など2~3分程度の問診後にそれぞれ接種を受けた。接種後はワクチン接種記録書が手渡され、職員らは間隔を取り並べられた椅子に座り、15分ほど経過観察を受けた。

 同院はワクチン1瓶当たり6回打てる特殊な注射器を職員分確保。3日に届いた1箱(195瓶)で1170回分に相当する。5日はワクチン2瓶を使用し、計12人に接種した。体調不良を訴える人はいなかった。

 「痛みや違和感はなかった」。接種を受けたコロナ専用病棟の根保愛看護師長は安堵(あんど)の表情。これまで普段とは異なる防護服をつけた業務などで、身体的な負担や不安があった。その上で「ワクチンは多少は安心感がある。医療者から接種することで、県民の皆さんの安心につながればと思う」と語った。

 琉大病院の大屋祐輔病院長は接種後、「医療者が接種することで、安心して医療に取り組むことができる。自分が感染しないことが医療を守ることにつながる」と話した。今回を「予行練習」と位置付け、効率的な手順や接種する医師、看護師の人数バランスなどを確認した。課題について「問診に時間がかかる。必要項目を事前に看護師が確認することで回転を早くできる」と語った。

 改善を図った上で、今月17~19日、24~26日の計6日間で他の希望者に1回目を接種する。同院では、委託業者を含む対象者約2千人のうち約1500人が希望している。「現時点で希望者の80~90%は打てる」との見通しだ。

 一方で、県全体では8日の週に新たに届くワクチンを合わせても、対象となる県内医療従事者約5万7千人に行きわたる量には達しない。

 県医師会の安里哲好会長は接種後に「今回のワクチンは臨床試験で95%の発症予防効果と重篤な副作用がほとんどなかったことが確認されている」と強調し、県民にワクチン接種への協力を呼び掛けた。