【深掘り】1票差で同意の副知事人事案 自民の造反工作は不発 沖縄県議会


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副知事人事案で記名投票が行われた県議会=10日、那覇市

 元県政策参与の照屋義実氏を副知事に充てる人事案が与党による賛成多数で同意された。票差はわずか1票で、昨年6月の県議選により拮抗(きっこう)した与野党勢力が賛否に表れた。野党自民が与党内の造反を狙って仕掛けた無記名投票は与党の結束により不発に終わったが、来年の知事選に向けた攻勢を強めていく考えだ。

 一方、議長選以降、不協和音が流れていた与党は人事案を巡り一致した行動が取れたことで、今後の結束に自信をのぞかせる。与野党攻防の焦点は次年度予算に移る。

 人事案を巡って野党自民は、会派代表で県連幹事長の島袋大氏が水面下で玉城デニー知事と距離を置く赤嶺昇議長を通じて、赤嶺氏が所属する与党会派のおきなわに反旗を翻すよう根回しを続けていた。

 一方、自民の動きを察知した与党幹部は、玉城知事に対し、知事自らが直接、副知事交代の必要性などを与党側に説明すべきだと訴えた。与党幹部の働き掛けもあり、5日には県庁に与党4会派の代表らを集め、知事自ら照屋氏の資質などについて説明した。

 知事の行動などが奏功し、10日の本会議は波乱なく終わった。与党幹部の一人は「与党が一致して記名投票を求める要求書を出した時点で勝負は決まっていた」と語った。一方、自民幹部は「副知事の人事は駄目だったが、予算案はどうなるか分からない。与党内でもワシントン事務所の費用対効果を疑問視する声が上がっている」と次を見据える。 (吉田健一)